NVDA台湾チームとのSkype会議報告

参加者:台湾チーム6人、日本語チームから西本1人。
(高地さんも招待されましたが都合でご欠席)

開催日時:8月18日 11時00分 から 12時15分

(1)中国語のIME対応の実装について

台湾チームから:
New Phonetic や boshiamy への対応を進めた。
日本語版のソースコードも一部利用している。

当初は Windows 7 をターゲットに作業を行い、ほぼ完成したので、
Windows XP にターゲットを移している。

西本から:
inputMethods 5287 で実装された2つのオプションについて。
まず Auto Report はすべての言語で必要な機能とはいえないのでは?

台湾チーム:
中国語においても ブーシャーミーでは有用だが、
New Phonetic IME では必要な機能ではない。

西本:
グローバルなオプション設定である Auto Report を、
言語に応じて有効か無効か切り替える、というアプローチもあるが、
特定の IME が選ばれたときにだけ有効にする、というやりかたもあるのではないか?

もうひとつの report changes to the reading string について。

台湾チームから:
いわゆるプリエディット文字列のキーエコーは熟練ユーザーには不要なので、
オプションで無効にできるようにした、という話。

西本から:これについて日本語の事情を。
まず、日本のスクリーンリーダーではプリエディット文字列の読みあげを無効にするオプションが
必ずしも重要ではない。なぜなら次の文字を打てば前の読みあげは「音切れ」で止まるから。
それから、プリエディット文字列はローマ字カナ変換のフィードバックとして使われている。
例えば k a と押すと「ケー、カ」と読み上げる。

この議論を踏まえて、
日本語の状況を理解するのは大事なので、
台湾・香港チームとオーストラリアの間で2週間にいちど行なっている
開発ミーティングに、西本も参加したらどうか、という話になった。

(2)
1文字読みの実装について。

日本語ではひとつの文字をどう読むかが、前後の文脈や、使われている熟語によって変わる。
本来は前後関係を考慮して読み付与できればよいのだが、困難。
もうひとつの問題として、日本語音声エンジンは特定の1文字の読みかたが
実装依存になっているので、「スペル読み」のサポートに依存するのではなく、
音声エンジンの違いを吸収する別のしくみが必要。

質問:「音声読み上げ辞書」で対応できるのでは?という指摘があった。
時間切れでフォローできなかったが、
音声辞書の編集機能は、グローバルに文字列置換をしてしまうので、
1文字読みでない音声出力に悪影響を与える。

(3)
質問:NVDA 日本語チームは今後も NVDA 日本語版をリリースするのか?
香港のチームは IME 対応を実装したが、本家のバージョンアップに追従するのが困難という理由から、
独自版のリリースをやめて東アジアプロジェクトに参加した。

西本の回答:
日本語できちんと使える世界共通のスクリーンリーダーは、どんなプラットフォームでも、いまだに実現されていない。
NVDA がグローバルに共通化され、かつ日本語がちゃんと使える状態にするのは、困難だが重要なチャレンジ。
NVDA が日本語や中国語だけでなくあらゆる東アジア言語を考慮して、最小のコストで、新しい言語に対応できることが理想。
NVDA 日本語版がやってきたことや遣り残した課題を仕様書としてまとめる作業を進めている。
これが日本語チームの次の活動方向を決めると考える。
西本個人は、グローバルな実装に統合していくことが妥当と思うが、
NVDA が日本語独自版のリリースを続けるかやめるかどうかは、日本のユーザーの意見によって決まる。

(4)
中国語チームからの NVDA 日本語版の評価。
かな漢字変換およびURLなどの、点字ディスプレイ出力に不備がある。

西本の回答:
これらの問題については認識している。
かな漢字変換は表示時間制限つきのメッセージで実装しているので、使い勝手がわるい。
inputMethods ブランチの実装のほうが正しいアプローチ。
また、点訳エンジンの不備で、記号の欠落が発生する。
当初は日本語点訳エンジンのためのオープンで完全な仕様書がなかった。段階的に取り組んでいる。

(5)
台湾チームから、東アジアフォーラムの提案。
メーリングリストを作り、NVDA の東アジアユーザーの交流を促進したい。

西本から:前回も話題にのぼったが、日本側が手を付けられなかったことをお詫びする。
当初はメーリングリストでの交流だけと理解した。

(6)
日本でのワークショップについて。

台湾チーム:招待したお二人は、ミックさん、西本と同じホテルを予約した。
金曜日(14日)の午後に東京に到着。

他の国からの参加者はあるか?
西本から:いまのところ把握していない。積極的に呼びかけもしていない。
当初は国際ワークショップの位置づけだったが、日本のエンドユーザーの参加を呼びかけて、
日本語で議論ができる場を作るということになった。
議論をなるべく英語に翻訳して公開する。インターネットライブ配信を準備している。

台湾チームから:
インターネット配信を視聴したいのでぜひ告知してほしい。

(以上)